~2019年度の活動~


2020年2月 「あけぼのハウス」開催 (場所:淡海かいつぶりセンター)

 2月6日に「あけぼのハウス」を開催しました。

 参加者からの「疑問や不安を抱えながらも主治医と満足なコミュニケーションが出来ないので、どうしたらいい?」という質問にはいくつかのアドバイスがあり、「乳がんに関する用語や病理検査の結果が分からない」という悩みの相談には「先ずは検査結果をもらうことが大事。その上で、『乳がんディクショナリー』や『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』で調べるといい」などのアドバイスがあり、自分のがんについて知っておくことの大切さについて話されました。

   初めて参加された方から、“乳がんになって、一度しかない人生を、自分はどのように送りたいのか!と改めて考え、何か行動を起こしたいという気持ちになった。”という話があり、がん罹患が人生に与える影響を感じながらも、一歩踏み出された方の話も聞けたことはとても有意義でした。
 
 後半は、いつものように再発転移ステージ4の方の<ひまわりサロン>とそれ以外の方に分かれて話をしました。 <ひまわりサロン>ではBRCA遺伝子の検査について、特にBRCA遺伝子と遺伝のことにそれぞれの思いを話しました。また、悪い結果が出た際に、どのようにして気持ちを持ちこたえているのかという話になり、ウィットに富んだご家族のエピソードに、思わず笑みがこぼれました。


2019年12月 「AYA世代の乳がん患者の集いin 滋賀」開催 (場所:淡海かいつぶりセンター)

 12月15日にあけぼの滋賀では初めてとなるAYA世代の方たち限定の《あけぼのハウス》を開催しました。 “はたして参加者があるか・・・。”と心配しながら迎えた当日でしたが、計5人での和気あいあいとした集いになりました。
 
 家事、育児、仕事などに忙しい世代ということで、治療や通院が煩わしく、つい後回しにしてしまったことがあるという話。 介護が終わって、“さぁこれから自分のことを!”と思った矢先に乳がんが見つかってショックだったという話。そして、一番長い時間を使って話をしたのは、仕事のことでした。
 
 乳がんを機に自分の仕事への向き合い方や職場環境についてあらためて考えることとなり、治療や体調不良を抱えながら就業せざるを得ないがん患者にとって、社会の理解やフォローがまだまだ行き渡っていない現状を話しました。また、職場で乳がんをオープンにした人の理由、オープンにしなかった(できなかった)人の理由なども話し、がん治療をしながら求職活動、就業することの難しさを考えさせられました。
 
 国立がん研究センターから乳がんの5年生存率が95%と発表された話について、「たった5年!って感じがする。5年経っても40代。周りの同世代はみんなキラキラしていて楽しく過ごしている。5年じゃなく、孫の顔見るまでずーっと私は生きていたいんだから」と、若い世代ならではの切実な声、願いがあり、高齢で罹患してもショックながんに、若くして罹ってしまった悲しさからなかなか逃れられないAYA世代のがん患者の苦しみをあらためて感じました。


2019年12月 「あけぼのハウス」開催 (場所:淡海かいつぶりセンター) 

 12月5日に「あけぼのハウス」を開催しました。
  気になっている副作用や、副作用軽減の方法など、悩んでいることについて、体験談などをもとに、次々と意見が出ました。また、副作用に対して処方されることがある漢方薬も、人によって合う合わない場合があること。また、以前あけぼの会が記者会見を開き、重要性を訴えたヒルドイドについて、肌の保湿効果のこと等も話が出て、みんなで興味深く聞き、さまざまな情報や思いを共有しました。

 後半は、再発転移ステージ4の方の<ひまわりサロン>とそれ以外の方に分かれて話をしました。 <ひまわりサロン>では今回は皆動物好きな参加者で、治療後体調がすぐれない時、傍にそっといてくれる猫に癒されている等日ごろの話、嫁として過ごしてきた日々の苦労等の話が尽きず、“今日は思いっきり話して心がすっきりしたね。また来年も”と、最後に手を握って来年も元気でいることを誓い解散しました。
 もう片方のグループでは、ホルモン療法の影響で子宮体がんが気になるが、症状がないため通っている総合病院の婦人科では検査を断られたという話があり、乳がんだけでなく、二次がんへの不安についての話も出ました。
 
 患者同士でさまざまな話をし、多くのことを共有できる2時間でした。「行きたい所に行ったり、したいことがあったりしたらなんでもやるようにしている。今すごく楽しく過ごしている。」という素敵なお話も飛び出し、「来年もたくさん笑って過ごしましょう!」とみんなで言い合って、今年最後の「あけぼのハウス」を締めくくりました。


2019年11月 「あけぼのハウスin大津赤十字病院」開催 (場所:大津市) 

 11月5日、大津赤十字病院で大江秀明先生をお迎えしての相談会「あけぼのハウス」を行いました。

 当日、参加した方からはこのような質問がありました。
①ホルモン療法の副作用に悩んでいるが、主治医にうまく思いを届けられなくて悩んでいる。
②ホルモン療法でAI剤(アロマターゼ阻害剤)治療により骨密度が下がり、その治療も行っているが、何か予防できる方法はないか。
③がんにはどんな食べ物がよいか。
④リンパ浮腫について。
⑤乳がん温存手術を受けたが、放射線治療を受けなかった。なぜだったのか。

 乳がんと言っても一人一人タイプや経過が違うので一概に答えられるものではありませんが、先生はひとつひとつの質問とその背景にある質問者の思いも汲みながら、丁寧に向き合ってくださいました。まるで公開の「セカンドオピニオン」のようで、参加された方からは「とても参考になりました。参加して本当に良かったです。ありがとうございました。」と嬉しそうに感想を述べられていました。

 「乳がん」と診断されて直ぐは、乳がんやその治療法、薬のことはわかりませんが、治療を納得して、日々を過ごしていくには、自身の乳がんのことを知ることがとても大切。そして、一人で悩まないこと。患者会や相談支援センターでご自身の悩みや思いを話すこと、聞いてもらうことが大切だと感じました。

 最後に、永く乳がんの治療をされていらっしゃる先生に、「どういった方の治療がうまくいっていると感じられますか?」と、とてもアバウトで非科学的かもしれない質問をしました。「一人で抱え込まないで、笑って、こんな風に患者会で仲間と出会い、発散して、ご自身で免疫力をアップしているような方がうまくいっているように感じます。」と話されました。


2019年10月 「あけぼのハウス」開催 (場所:淡海かいつぶりセンター) 

 10月3日に「あけぼのハウス」を開催しました。

 この日は、病気の事も話題に出ましたが、特に話題の中心にあがったのが家族や周りの人との関係についてでした。自身が治療や闘病を続けているなか、家族の支えが得られにくい時があったり、親の介護が心身の負担になったりと、なかなか心穏やかに日々を過ごせない辛さを感じている方もおられました。

 

 家庭の主婦が多い乳がん患者にとって、これらのことは本当に難しい問題だと言えますが、今日のハウスでは、同じような体験をしてきた参加者から心のこもった温かいアドバイスも出てきて、ピアサポートの良さを感じられるひとときとなりました。

 

  話せるだけで心が軽くなる、聞いているだけで元気が出てくる、聴いてもらえるだけで嬉しくなる、同じ体験をした人がこれだけいるんだと知るだけで勇気が出る。「あけぼのハウス」がそんな交流の場であることを改めて感じた2時間でした。初めて参加された方2名もその場で会員になっていただけ、仲間が増えた喜びと共に、今後の活動も頑張っていこうと気持ちを新たにしました。

 


2019年9月 「あけぼのハウスin済生会滋賀県病院」開催 (場所:栗東市) 

 9月5日に済生会滋賀県病院で「あけぼのハウス」を開催しました。今回は、前半に京都府立医科大学の田口哲也教授による講演会、後半に医療スタッフの方々も参加して少人数グループに分かれての相談会という形式で実施しました。

 前半の講演会は「最新の乳癌診療2019『分子標的治療、そしてゲノム医療』」というタイトルで、分子標的薬についてのお話を主軸に、薬物療法についての講演でした。「分子標的薬+ホルモン療法」や「バイオシミラー(バイオ後続薬)」など、新しく耳にする言葉も出てきて、これからの乳がん治療の研究や進歩を予感させるものでした。

 後半の相談会では、参加者全員が3グループに分かれ、それぞれのグループでは医療スタッフを交えて活気あるやりとりが行われました。女性ホルモンと骨密度の話。術後まだ日が浅い人からの腕の痛みの話。薬物療法と副作用の話。術後や化学療法中の下着や爪のケアの話などが話題に上がり、それぞれ医療的、経験的なアドバイスがありました。また、実際にその場で体を動かしてリハビリ運動が行われたり、おすすめの下着の話や爪の補強にはファッション用の爪シールも良いなど、具体的な話が出てとても参考になりました。

 田口哲也先生は永年の乳がん診療の経験から、初期治療をしっかりすることがいかに重要であるかという話をされ、誰もが経験する初期治療の重要性を改めて心に刻みました。
 今回は3名の乳腺外科医、研修医1名、乳腺治療に携わってくださっている多くの医療スタッフが参加してくださり、非常に貴重な集まりとなりました。終了後の皆さんの笑顔を見ていると、語りあうことで悩みや不安を和らげる「あけぼのハウス」の本領を発揮できたと感じました。


2019年7月 「あけぼのハウスin市立長浜病院」開催 (場所:長浜市) 

 7月25日に市立長浜病院で「あけぼのハウス」を開催しました。今回も同病院外科で乳の東出俊一先生がご出席くださり、先生を囲んでの"相談会風あけぼのハウス”となりました。


 参加者からは、主治医には面と向かってなかなか言えない不安や疑問が次々と飛び出し、それに対して東出先生からは熱のこもった回答やアドバイスがありました。
「若年からホルモン療法を開始し、女性ホルモンが止まることで不調が出たり、老化が早まるのではないかと心配だ」という不安には、「不調には薬などでの対症療法がある。将来的な薬の影響への不安は、今のところそういう観点から調査したものがあまりないのが実情。ただ、個人的には、若年性乳がん患者の〔二次がん〕のリスクも考えていくべき問題だという思いはある。」とお話がありました。
 また、再発転移中の方からの「化学療法で、今の薬から次の薬へ変更のタイミングに悩んでいる。」という相談には「医者としても判断が難しいことだが、良い新薬も出てきているので、そういうことも含めて休薬や薬の変更を主治医と考えるといい。」とアドバイスされました。

 時々耳にする「術後10年経ったら定期的な検診を卒業してもいいのか?」という質問には「対側乳房のチェックや晩期再発のこともあるので、検診には必ず行って欲しい。」と、強い口調で話されました。


 今回、質問を整理してメモ書きにされて来られた方がおられましたが、質問したいことが先生にうまく届き、狙い通りの回答を得ることが出来ました。診察室での主治医とのやり取りにとても有効だと実感しました。

 

 先生のお人柄もあり、ざっくばらんな雰囲気のなかで話は進み、2時間があっという間に過ぎました。医師と患者がこのような距離感で話ができたことは、たいへん貴重なことだと思います。
先生が最後に「乳がんの治療は今激動期。特に進行がんの治療薬は、医者がどれを使うか悩むほど新しいものがたくさん出てきている。希望を持ち続けましょう!」とおっしゃったのが、とても印象的でした。


2019年6月 「あけぼのハウス」開催 (場所:淡海かいつぶりセンター) 

 6月5日に「あけぼのハウス」を開催しました。

 新会員さんも参加され、和やかな雰囲気で始まりました。
 今日のハウスの話題も、治療の副作用など心身の悩みに関することが中心でした。リンパ浮腫についてやホルモン療法の副作用の症状について、また原因のはっきりしない不調や治療への不安など、
誰もが抱くこれらの思いは、術後日が浅くても年数が経っていても、やはり患者を悩ませるものだと改めて感じさせられました。

 これらの悩みに対して、励ましや体験談の披露、知っている情報の提供など参加者同士で活発な意見のやり取りがあり、賑やかで和気あいあいとした中でも問題の解決にみんなで向き合おうという気持ちが感じられる、素敵な2時間となりました。

 「乳がんディクショナリー」を活用して、皆でわからない言葉を確認し、また、自分の乳がんを知ることが長い治療の中ではとても大切なので、「私のカルテ」を活用してはどうかとのアドバイスもありました。 このように患者も「患者力」をつけていくことが、良い治療につながるのではないかとか感じました。不安顔だった参加者の方にも笑顔が見られ、ピアサポートの大切さを改めて感じるあけぼのハウスとなりました。


2019年5月 乳がん講演会「一緒に学ぼう! 乳がんのこと」 開催 (場所:滋賀県立総合病院) 

 5月15日にあけぼの滋賀と滋賀県立総合病院の共催で、乳がんの講演会を開催しました。


 まず、滋賀県立総合病院放射線治療科の山内智香子先生から「“がん”の基礎知識と新たな乳がん放射線治療」というタイトルで講演いただきました。がんの発生リスクや予防法から始まり、予後に関係する因子、先生が専門とされている放射線療法まで、たいへん分かりやすくお話をしてくださいました。


 次に、同病院乳腺外科の辻和香子先生から「乳がんの手術と最近の薬物療法」というタイトルで講演いただきました。乳がんの治療についてひと通り説明のあと、特に薬物療法にスポットを当て、専門的な内容をわかりやすく説明してくださり、最新の薬などについても知ることができました。

 

 その後のQ&Aコーナーでは、参加者から寄せられた質問に両医師が答えてくださいました。「ホルモン療法が5年で終了と言われ不安だが大丈夫か?」というという質問には「乳がんのステージや再発リスクによって服用期間が違う場合がある」という回答をいただき、「若年で乳がんになり、検査で今後長く放射線を浴びるのが心配だ」という質問には「CTなどは放射線量が少なくないのでずっと続けるのはリスクもあり、主治医とよく相談して欲しい」とアドバイスがありました。
 
 長い付き合いの乳がんですが、新しい治療法や薬が続々と出てきていることを今日の講演で実感しました。 難しい事もありますが、少しずつでも理解を深めていくことの大切さも、改めて感じました。 


2019年4月 あけぼの滋賀 総会・親睦会 開催 (場所:コラボ滋賀21) 

 桜も満開のなか、4月14日に今年度の【あけぼの滋賀】の総会と親睦会を、琵琶湖畔のコラボしが21で開催いたしました。

 

 総会では、代表からの2018年度の報告に続き、2019年度の事業案の提案などがなされ、参加された皆様からの満場一致の温かい拍手で承認されました。 

 総会後は、自己紹介をしてから発酵食のお店の手作りお弁当を参加者全員でいただき、近況や気になることをおしゃべり。久しぶりにお顔をみせてくださった方もおられ、和気あいあいとした雰囲気のなかでいろんなお話に花が咲き、時間はあっという間。お互いに元気をもらった親睦会となりました。


 あいにくの雨模様で、美しい琵琶湖の眺望はぼんやりとかすんでいましたが、集まった仲間との楽しい時間にパワーをもらい、心は晴れやかな春の一日となりました。